知る人ぞ知る自己啓発病 社会 宮崎学通販が楽しくなる。
Home > 自己啓発病 社会 宮崎学の通販特集
「自己啓発病」社会 [ 宮崎学 ]のレビューは!?
40代 男性さん
竹内均訳のS・スマイルズ「自助論」は、新自由主義者達から成功ノウハウ本のように持て囃されているが、竹内本は全訳ではなく抄訳で、スマイルズが本当に伝えたかったこと(「自助は利己ではない」「自助は相互扶助と両立する」「自助は成功の為ではない」「自助とは人格を作ること」「自助とは個人の尊厳を打ち立てること」等)は省かれていること、スマイルズにとっては「成功」が問題なのではなく「立志」が問題だったこと、「立志の人」として取り上げられた例は300人に上るが、商人や銀行家等の企業家はほとんど入っていないこと、などにより、新自由主義者達の「軽薄さ」が明らかにされている。 また、「3.11」である意味明確になった、「ヨーロッパの近代」と「日本の近代」の決定的な違いからくる「民主主義=自己統治」のはき違えや、相互扶助が無けれければ自助も無く、利己的自助では相互扶助が働かないこと、大きく変化しつつある日本人の意識も紹介されている。 資本、労働、金融のグローバル化による現在の「カジノ資本主義」(賭博経済)で必要とされるものは、勤勉ではなく才覚、忍耐力ではなく敏捷性、蓄積ではなく投機であり、近代(産業革命)以降の勤勉倫理は役に立たなくなっていて、こういう「流した汗が報われない社会」では「勤勉な自助」に代わる「新たな自助」が必要、としている。 スマイルズの近代的自助論の限界を乗り越え、「3.11」でその重要性・有効性が明確になった「相互扶助」を働かせて、「自足」し「連帯」(協同)する「互恵社会」を志向すべきだ、としている。